挑戦の歴史
   
人間が空を飛ぶまで
   
 むかし昔の人は「空を飛びたい」と願い、鳥のまねをして、翼を作り、高い所からはばたいて飛ぼうとしましたが、うまくいきませんでした。
   
1490年代頃
 「モナリザ」の絵で有名なイタリアの芸術家レオナルド・ダ・ビンチは、人間が鳥のように翼を羽ばたかせて飛ぶにはどうしたらいいかを研究しました。現在のヘリコプターやパラシュートにに似た空を飛ぶきかい機械を想像して絵に書きましたが、実際に作ることはしませんでした。
 
1783年
 フランスのモンゴルフィエ兄弟は、紙屋さんでした。暖炉でまい舞い上がる紙袋や洗濯物を見て暖かい空気は上に行くと気づきました。そこで兄弟は、紙で作った大きな袋、つまり気球の中に焚き火から出る熱い空気を詰めて、人を乗せて25分、約9キロ飛行することに成功しました。これが人間が初めて空を飛んだ瞬間です。ライト兄弟が飛行機で空を飛ぶ120年前でした。それからたった10日後、ジャック・シャルルは空気より軽い水素ガスを詰めた気球で、約2時間、約43キロ飛行することに成功しました。
 
1803年
 イギリスのジョージ・ケイリーは、鳥の飛ぶ様子やタコが上昇する仕組みを実験で学び、ついに翼で飛ぶグライダーの模型を作って試験飛行に成功しました。
 
1852年
 フランスのアンリ・ジファールが、蒸気機関という動力をつけた流線型の気球を作りました。今まで風まかせだった気球が、自由に方向をコントロールできるようになりました。飛行船の始まりです。
 
1891年
 ドイツのオットー・リリエンタールは、グライダーで初めて飛ぶことに成功しましたが(人力による有人飛行)、その後、飛行テストの事故がもとで亡くなりました。
 
1903年 1
 アメリカのライト兄弟が、ついに動力付き飛行機で人類初の有人操縦飛行に成功しました。始めに弟のオービルが36m飛んで無事着陸、4回目には兄のウィルバーが59秒で260mも飛びました。人間が初めて自由に空を飛んだのです。自転車を作る会社を経営しながら飛行機を研究していた二人は、小型エンジンを開発し、プロペラ付きの複葉機「フライヤー号」を完成させ、世界最初の飛行機の飛行に成功したのです。
 
日本では:
1785年:
 リリエンタールがグライダーで飛んだ時よりも100年も前の江戸時代、今の岡山県で屏風や襖を貼る仕事をしていた表具屋職人の浮田幸吉は、空を飛んだと言われています。鳩やトンビを解剖して研究し、竹の骨組みと和紙で大きな翼を作り、川にかかる橋の欄干から滑空しましたが、お役人につかまってしまいました。
 
1787年頃:
 沖縄でも、安里周祥が羽ばたき機で、断崖から海に飛んで成功したという伝説があります。
 
1891年:
 ライト兄弟の飛行実験より12年早い明治24年(1891年)、カラスを見て飛行原理を思いついた二宮忠八は、四国の丸亀でカラス型模型飛行器による動力飛行実験に成功しました。人を乗せて飛ぶ飛行機を考え始めた忠八は、明治26年(1893年)、大きさ2mの「玉虫型」飛行器模型を完成させ、試作機の製作許可を何度も陸軍の上役に頼みましたが、取り上げてもらえませんでした。もし、これが実現していたら、世界の飛行機の歴史は変わっていたかもしれません。
 
1910年:  
 ライト兄弟から7年遅れた明治43年(1910年)、東京の代々木練兵場(今の代々木公園)で、日本人が初めて空を飛びました。徳川好敏陸軍大尉はフランス製のアンリ・ファルマン機で、日野熊蔵陸軍大尉はドイツのグラーデ単葉機で初の公式飛行に成功しました。
 
1911年:
 埼玉県所沢に日本初の飛行場が完成しました。
 
 
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